ラミニフェルノコギリクワガタ
Prosopocoilus laminifer Boileau, 1905
スマトラ島 Mt. Talang産
1.はじめに
1-1.枕詞という名の駄文
※この先しばらく心底どうでもいい文章が続きます。飼育内容をご覧になりたい方は上の目次からページを飛ばしてください♪♪※
2023年3月。なんとな~くインドネシア便よりパッサロイデスノコギリのペアを購入。
すると♂が↓
誰お前!!???!?
明らかにパッサロイデスではない♂。大図鑑で☆5の珍品であるラミニフェルノコギリクワガタがやってきました。
近年は生体流通が全くと言っていいほどなく、おそらく日本国内からは絶えていたのではないでしょうか。思わぬ特別ゲストにテンションぶちあがりでございます。2%くらい「来るんじゃないか?」と期待していた節はあった。でも本当に来るとは思ってなかった。
セットで届いた♀は…残念ながらパッサロイデスのようです。というのも、ビークワのノコギリクワガタ特集にはラミニフェルの♀が掲載されておらず、正解がわからないので「たぶん、パッサロイデスだろう…」という感想しか出てきません。
恥ずかしながら大図鑑を持っていないので(は?買えよ)、答え合わせをするにはパッサロイデスではなさそうな♀を手に入れるしかありません。というわけで
全速前進DA☆
これがラミニフェル召喚の儀、人は「パッサロイデスガチャ」と呼びます(呼ばない)。
排出結果↓
パッサ。
パッサ。
全パッサ。
♂は要らんのよ(片方ラミニフェル)
…数回繰り返して累計8ペアほど購入したある日、明らかに違和感のある♀が到着。ビークワのプレートには該当しそうな♀がいません。つまりラミニフェルの可能性が濃厚!!というわけで
これがラミニフェルノコギリの♀だ 刮目せよ!!
、、、w
はい、全然違いますね。ラミニフェルではないにしてもパッサロイデスの♀ではなさそうです。是が非でも幼虫をとりたいところ。
ちなみにパッサであろう♀も未練がましく全部セット組みました。マットをボトルに詰めただけのお粗末なセットですべての♀が産卵し、案の定ゾロゾロとパッサが羽化…。
※※駄文おしまい♡※※
1-2.緒言
スマトラ島特産のノコギリクワガタ。パッサロイデスノコギリクワガタ(Prosopocoilus passaloides)に近縁だが、より脚が長くスタイリッシュな印象を受ける。
文字通りノコギリのような内歯がとてもカッコいい。体表の微毛もシックな魅力がありvery goodでございます。
大図鑑では☆5の珍品であり、標本屋さんでからしても割と珍しい種類という認識のようです。
昔は生体流通があったようですが、現在は全然さっぱりあぶらあげ。
運よくそれっぽい野外品を入手することができたので、ブリード頑張っていこうと思います。
2.飼育記
2-1.2023年6月27日 ペアリング~産卵セット
6月購入のペアに怪しい♀が含まれており、♂も同時に引けていたのでペアリングを実行。
この反応のスムーズさは同種とみて間違いないでしょう。万が一別種だったとしても羽化すればわかります。
ペアリングの翌日には産卵セットへ投入。
パン屋さんに材を埋め込んだ、本種の大きさからすると贅沢なセット。いっぱい産んでくれぃ!
2-2.2023年7月31日 割出
…。
何とも寂しい結果に。いくらなんでもこの数はあんまりじゃないか??
諦めきれずに埋め戻し、後日ほんのちょっとだけ追加。
採れた幼虫は500ボトルで飼育。
2-3.2024年1月~2月 蛹化~羽化
ボトル投入から半年ほどで蛹化。この時点では本当にラミニフェルなのかは確定していません。どっきどきでございます。
アゴのストレート具合から、少なくともパッサロイデスではなさそうな感じがします。
1ヶ月程度で色づき始めました。アゴ先の二又…これは確定演出か!?
やったぜ!!!
ばっちりラミニフェルが羽化してきました。いや~よかった!この瞬間の脳汁のためにパッサロイデス買いまくった甲斐があるというものです。
♀も羽化してきてほっと一息。ただしこの一頭だけなので安心はできません。
3.羽化個体紹介
♂①33.7mm PLWF1-01
2023年7月31日 採卵 120カップ
2023年9月28日 恵栽園マット@500ボトル 3齢
2024年2月23日 羽化
蛹体重1.2g
♂②33.4mm PLWF1-03
2023年9月28日 恵栽園マット@500ボトル 初齢
2024年1月27日 恵栽園マット@250カップ(コバエ大量発生のため)
2024年3月17日 羽化
♀22.8mm PLWF1-02
2023年9月28日 恵栽園マット@500ボトル 2齢
2024年3月1日 羽化
4.所感
まずはパッサロイデスを8ペア買うところから始めましょう。話はそれからだ
冗談はさておき、ひとまず「当たり」を引いて羽化まで持っていくことができたのは良かったです。
飼育に際し、パッサロイデスよりも癖があるような感じがしました。特に産卵において、パッサロイデスはマット詰めときゃ産む典型的なノコギリですが、本種は材にちょろちょろっと…という感じで感覚が全く異なります。CB化すれば多少変わるのかもしれませんが、素直なヤツではないようです。
幼虫飼育は散々な内容の割にそれなりのサイズの個体が羽化してきてくれたので、産卵よりは容易なフェーズだと思います。きちんと手をかければ飼育レコードに届きそうな気も。ただ、情報が少なすぎてどれくらいの大きさからが特大と言えるのかはよくわかりません。
雌雄揃って羽化してきてくれたとはいえ、頭数が少なく綱渡り状態。特に♀は1頭しかいないのでヒヤッヒヤです。最初に羽化した♂は近々動き出しそうな予感がするので、休眠が長い種類ではなさそうです。遠からずブリード開始となるでしょう。絶やせない虫故、緊張も段違い…。
最近、追加狙ってパッサロイデス3ペア買いましたがオールパッサで無事爆死しました。前途多難…。
5.おまけ ラミニフェルとパッサロイデスの見分け方
5-1.♂
見りゃわかんだろ 小さいオスだけ貼っとく
5-2.♀
P. laminifer ↓
P. passaloides ↓
おまけ P.tigrinus ↓
見分けポイント
・全体的に点刻が薄めで、上翅会合部などに点刻列を欠く部分がある(ラミニフェル)
・全体的にはっきりとした点刻が入る(パッサロイデス)
・眼縁突起はパッサロイデスと比較して発達しない(ラミニフェル)
・眼縁突起は外側に弧を描き、膨らみやすい(パッサロイデス)
・体形は普通のクワガタの♀と比較して細長い程度(ラミニフェル)
・体形は非常に細長い洋ナシ形(パッサロイデス)
・大アゴはやや細い?(ラミニフェル)
・大アゴはやや太く湾曲しやすい?(パッサロイデス)
P. laminiferとP. passaloides
点刻と眼縁突起で比較するとわかりやすいです。こうして見ると前脚脛節の形状も違うかも。