カワムラサビクワガタ
Dorcus kawamurai Fujita, 2010
インド ウェストベンガル カリンポン産
1.はじめに
「ドルクスのサビは、30mmを超えないのでレコード対象外」
私はずっとそう思っていました。厳密にはヤマトサビがいるけどハードルが高すぎる
しかし、サビ有識者の方とお話しした際に「カワムラ(とウルスルス)は30行けると思いますよ!」と助言をいただきました。それならやってやろうじゃないか!と思い立ち探し始めましたが…こういう時に限って見つからない。そんな折、オクにワイルド個体が出品されました。
「ワイルドか…絶対値段上がるよな…。しかしフレッシュな血という莫大なメリットが…。いやいや♀単やぞ、そしてそもそも本当にカワムラなのか…?う~ん…う~ん…う~~~ん………」
買っちゃった♪
後日色々と真っ白になったのは言うまでもない
無事生着。
うん。
うん。
わからん!w
全体的に細長く、ケツがシュッとしており、アゴの付け根も細いのでたぶん…カワムラで合っていると思いますが、いかんせん実物見るの初めてなのでわかりません。♂は内歯がへら状になるので♀よりも別種との違いがわかりやすい
とにもかくにも幼虫採れなきゃ始まらないので…がんばります。
2.飼育記
2-1.2022年8月20日 産卵セット
パン屋さんとカワラ材を使用した、本種には贅沢なセット。
値段が値段だったのでかなり畏れながらセットしていた記憶。
2-2.2022年9月 産卵~孵化確認
9月5日、我慢できずに試し割りをしてみると卵が!!!
丸く膨らんでおり、孵りそうな見た目をしていますが果たして…
やった!!!孵った!!!
採卵から2週間後、無事に孵化を確認しました。意気揚々とボトルへ投入。
後日、若干数を追加し幼虫は計10頭程度。
2-3.2022年12月28日 追加割出
保管していた産卵セットに幼虫が見えたので割ってみると、初齢~3齢と各ステージ出てきました。しばらくダラダラ産んでくれていたようです。嬉しい!こんなんなんぼあってもいいですからね。
2-4.2023年1月25日 最終割出
先に割り出していた組は順調に成長していました。心なしか、同時期に飼育しているウルスルスサビの幼虫よりも大きいように見えます。
産卵セットを覗くとまた幼虫が見えたので割り出したところ、めっちゃでてきました…。
流石に♀はお陀仏でしたが、持腹でよくぞここまで子孫を残してくれたものです。
2-5.2023年4月20日 蛹化
ついに蛹化。立派そうな雄です。
この段階だと、まだ内歯形状はわかりませんね。体型はかなり細いのでカワムラサビで合っていると思いますが…。羽化が楽しみです。
2-6.2023年5月18日 羽化
無事に羽化。内歯はへら状で、カワムラサビの特徴がしっかりでています。やったぜ!!
3.羽化個体紹介
夏忙しくて(言い訳)個別写真撮影かなりサボってます。
♂①27.8mm DK-S-WF1-01
2022年9月20日 恵栽園マット@500 初齢
2023年5月19日 羽化
蛹体重1.4g
♂②29.0mm DK-S-WF1-04
2022年10月30日 恵栽園マット@500 初齢
2023年6月9日 羽化
蛹体重1.5g
実質当サイクル最大個体。まずまずといったところでしょうか。
♂③28.2mm DK-S-WF1-06
2022年10月30日 恵栽園マット@500 初齢
2023年6月5日 羽化
蛹体重1.4g
♂④28.1mm DK-S-WF1-07
2022年12月18日 恵栽園マット@500 3齢
2023年5月23日 羽化
蛹体重1.5g
♂⑤28.3mm DK-S-WF1-18
2023年1月26日 怪物くん@500 2齢
2023年6月25日 羽化
蛹体重1.5g
♂⑥28.2mm DK-S-WF1-19
2023年1月26日 怪物くん@500 2齢
2023年6月22日 羽化
蛹体重1.5g
♂⑦28.2mm DK-S-WF1-21
2023年1月26日 怪物くん@500 2齢
2023年6月22日 羽化
蛹体重1.5g
♂⑧28.4mm DK-S-WF1-23
2023年1月26日 怪物くん@500 2齢
2023年6月16日 羽化
蛹体重1.4g
♂⑨27.5mm DK-S-WF1-24
2023年1月26日 怪物くん@500 2齢
2023年6月20日 羽化
蛹体重1.3g
♂⑩28.2mm DK-S-WF1-28
2023年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月20日 羽化
蛹体重1.5g
♂⑪28.8mm DK-S-WF1-31
2022年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月16日 羽化
蛹体重1.5g
♂⑫28.4mm DK-S-WF1-32
2023年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月9日 羽化
蛹体重1.5g
♂⑬28.1mm DK-S-WF1-33
2023年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月11日 羽化
蛹体重1.4g
♂⑭28.7mm DK-S-WF1-34
2023年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月11日 羽化
蛹体重1.5g
♂⑮28.0mm DK-S-WF1-36
2023年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月20日 羽化
蛹体重1.4g
写真撮り忘れ
♂⑯26.4mm DK-S-WF1-37
2023年1月26日 恵栽園マット@500 初齢
2023年7月3日 羽化
写真撮り忘れ
♂⑰25.5mm DK-S-WF1-38
2023年1月26日 恵栽園マット@500 初齢
2023年6月20日 羽化
写真撮り忘れ
♂⑱26.8mm DK-S-WF1-39
2023年1月26日 恵栽園マット@500 初齢
2023年6月30日 羽化
写真撮り忘れ
♂⑲26.8mm DK-S-WF1-40
2023年1月26日 恵栽園マット@500 初齢
2023年7月2日 羽化
蛹体重1.2g
♂⑳26.3mm DK-S-WF1-42
2023年1月26日 恵栽園マット@500 初齢
2023年6月29日 羽化
写真撮り忘れ
(♂29.1mm) DK-S-WF1-08
2022年12月29日 怪物くん@500 2齢
2023年6月22日 羽化
蛹体重1.6g
唯一蛹体重が1.6gあった個体だが、見るも無惨な不全個体になってしまった…。
♀①25.6mm DK-S-WF1-02
2022年9月29日 恵栽園マット@500 初齢
2023年6月11日 羽化
背面写真撮り忘れ。なぜかノギ写はあった
♀②24.4mm DK-S-WF1-03
2022年10月30日 恵栽園マット@500 初齢
2023年5月30日 羽化
♀③24.8mm DK-S-WF1-10
2022年12月29日 怪物くん@500 初齢
2023年6月5日 羽化
♀④24.8mm DK-S-WF1-11
2022年12月29日 怪物くん@500 2齢
2023年6月7日 羽化
♀⑤24.4mm DK-S-WF1-12
2022年12月29日 怪物くん@500 2齢
2023年6月13日 羽化
♀⑥25.1mm DK-S-WF1-13
2022年12月29日 怪物くん@500 初齢
2023年6月16日 羽化
腹部はみ出し
♀⑦24.3mm DK-S-WF1-14
2022年12月29日 怪物くん@500 初齢
2023年6月13日 羽化
♀⑧23.9mm DK-S-WF1-15
2022年12月29日 怪物くん@500 初齢
2023年6月13日 羽化
♀⑨23.8mm DK-S-WF1-16
2022年12月29日 怪物くん@500 初齢
2023年6月8日 羽化
♀⑩24.6mm DK-S-WF1-17
2022年12月29日 怪物くん@500 初齢
2023年7月4日 羽化
♀⑪26.1mm DK-S-WF1-20
2023年1月26日 怪物くん@500 2齢
2023年6月23日 羽化
当サイクル最大♀。26ミリ台なんてほかのサビなら「♂の」見れるサイズですよ…でかすぎる。
♀⑫24.0mm DK-S-WF1-22
2023年1月26日 怪物くん@500 2齢
2023年6月20日 羽化
写真撮り忘れ
♀⑬24.0mm DK-S-WF1-25
2023年1月26日 怪物くん@500 初齢
2023年6月16日 羽化
♀⑭24.3mm DK-S-WF1-26
2023年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月16日 羽化
♀⑮24.8mm DK-S-WF1-29
2023年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月6日 羽化
♀⑯24.3mm DK-S-WF1-30
2023年1月26日 恵栽園マット@500 2齢
2023年6月11日 羽化
♀⑰23.5mm DK-S-WF1-35
2023年1月26日 恵栽園マット@500 初齢
2023年6月16日 羽化
♀⑱23.6mm DK-S-WF1-T01
2023年1月26日 恵栽園マット@500 3齢×3頭
2023年6月4日 羽化
写真撮り忘れ
♀⑲22.8mm DK-S-WF1-T02
2023年1月26日 恵栽園マット@500 3齢×3頭
2023年6月12日 羽化
写真撮り忘れ
♀⑳23.3mm DK-S-WF1-T03
2023年1月26日 恵栽園マット@500 3齢×3頭
2023年6月30日 羽化確認
写真撮り忘れ
♀㉑24.2mm DK-S-WF1-X01
2022年10月5日 採卵
恵栽園マット@500 初齢
2023年6月2日 羽化
4.所感
ドルクスのサビってこんなに大きくなるのか!!とびっくり。28ミリ台がゴロゴロなんて、ほかのサビではそうそうないです。種としてのポテンシャルが頭一つ抜けているんだと思います。幼虫明らかに大きかったし。
抜けたサイズがいないということは、28ミリ台は決して大型とは言えないのかもしれません。飼育の改善が必要ですね…。累代を続けていれば遠からず30ミリに達しそうな予感がします。
本種は比較的細身の体形が特徴とのことでしたが、前情報とは裏腹に重厚感が魅力のクワガタであると感じました。体高が高くかなり厚みがあります。焦げ茶のビロードチックな体も相まって小型種らしからぬ存在感が素晴らしい。
強者の知り合い含めけっこういろいろなところにばらまいたので、ライバルを増やした形になりましたが、私が最強なので負けません。かかってこいよ、ぶちのめしたるわ。
次こそはレコードに外国産サビクワガタを登録する!!!と気合を入れて、当然飼育継続。
以下ブリードメモ。
・ドルクスのサビは高確率で持腹産卵可能っぽい。
・柔らかめの材が埋まってさえいればかなり雑簡素なセットでいい。健康な♀なら40~50の産卵はザラ。
・けっこう子食いする。
・幼虫の食性は強いが、高添加はあまり得意ではなさそう。
・低温飼育は可能だが、適しているかは微妙。