きれいで簡単にふえるやつがすき

趣味で飼育しているクワガタの飼育記録を投稿します。小型種多め。

ブッダノコギリクワガタ 亜種erberi マレーシア産 WF2 羽化報告

ブッダノコギリクワガタ 亜種erberi

Prosopocoilus buddha erberi Lacroix, 1988

マレーシア キャメロンハイランド産

 

アゴが左右非対称になることで有名なブッダノコギリ。特にスラウェシ亜種patriciusは左右非対称の傾向が顕著です。逆に、フィリピンではほとんど左右対称みたいな形になる亜種もおり、変異が豊かで面白いノコギリクワガタです。

今回飼育した亜種erberiは若干左右非対称になる程度で突飛な特徴があるわけではありませんが、体全体のバランスはかなり整っており個人的に好きな亜種です。真っ黒に見えて実はほんのり赤みがかっているのもグッド。スマトラマレー半島に分布していますが、マレー産は本亜種に含めるか再検討の余地があるそうです。ひとまずは亜種erberiとしておきます。

♀の前脚は外側に反っており、材産みのにおいがプンプンします。

大元のワイルドはペア4000円ほどとかなり安く入手した記憶があります。WF1の最大は55.1mmで、一応野外最大は超えていましたが飼育レコード58.9mmには遠く及びませんでした。手抜き飼育していたので当たり前です。今回のWF2はあまり見かける産地でもないからというしょうもない理由で惰性で飼育しただけになりますが、一応飼育内容をまとめておくことにしました。

 

1.基本的な飼育について

まずは産卵から。♀の形状から推定いただける通り材産みです。ミンダナオ亜種やスラウェシ亜種ではマットにも産んだという報告を見たことがありますが、本亜種は特に材産みの傾向が強いようで、ワイルド♀は材を埋めた部分には全く反応せず外側に出ている部分にだけ反応を示しました。というわけでそれを踏まえて材転がしでセット。楽でいい。

バカなので2ペア用意してたらしいです。だってインブリ続かないっていう噂聞いちゃったんだもん…

55.1×31.6と54.6×31.0。無事(?)各ペアから20頭弱くらい幼虫が採れました。それぞれ10頭くらいずつ残して飼育。ほどほどの数をキープ。だって売れねぇんだもん…

幼虫飼育ですが、菌糸を使う理由が特にないのでマット飼育をしました。親もすべてマット飼育。マットで十分大きくなると思いますが、菌糸でも飼育はできるそうです。

羽化まではめちゃくちゃ早いです。油断してたらあっという間に羽化します。

産卵セット組んだのが2022年8月6日で、この♀が羽化したのは2023年1月半ば。幼虫期間4~5ヶ月ってところでしょうか。

♂も大抵は極端に遅れることなく羽化してきます。

活動開始までの期間も短く、羽化後1ヶ月で起きる個体もいます。サイクルが早い虫です。

 

3.羽化個体紹介

♂①53.6mm DDBE-MWF2-551316-01

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月24日 羽化

 

♂②47.6mm DDBE-MWF2-551316-02

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年3月20日 羽化

 

♂③53.9mm DBE-MWF2-551316-05

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月24日 羽化

 

♂④54.2mm DBE-MWF2-551316-09

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年2月10日 羽化

 

♂⑤56.2mm DBE-MWF2-546310-06

2022年9月20日 恵栽園マット@500ボトル

2023年2月24日 羽化

 

♂⑥56.6mm DBE-MWF2-546310-07

2022年9月20日 恵栽園マット@500ボトル

2023年3月10日 羽化

 

♀①32.2mm DBE-MWF2-551316-03

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月20日 羽化

 

♀②32.0mm DBE-MWF2-551316-04

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月16日 羽化(羽化後乾燥死)

 

♀③31.3mm DBE-MWF2-551316-06

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月8日 羽化

 

♀④31.6mm DBE-MWF2-551316-07

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月16日 羽化

 

♀⑤30.9mm DBE-MWF2-551316-08

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月20日 羽化

 

♀⑥31.3mm DBE-MWF2-551316-10

2022年10月5日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月16日 羽化

 

♀⑦33.5mm DBE-MWF2-546310-01

2022年9月20日 恵栽園マット@500ボトル

2023年2月15日 羽化

 

♀⑧33.0mm DBE-MWF2-546310-02

2022年9月20日 恵栽園マット@500ボトル

2023年2月10日 羽化

 

♀⑨32.4mm DBE-MWF2-546310-03

2022年9月20日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月23日 羽化

 

♀⑩33.2mm DBE-MWF2-546310-05

2022年9月20日 恵栽園マット@500ボトル

2023年2月17日 羽化

 

♀⑪32.7mm DBE-MWF2-546310-08

2022年9月20日 恵栽園マット@500ボトル

2023年1月15日 羽化

 

♀⑫34.3mm DBE-MWF2-546310-10

2022年9月20日 恵栽園マット@500ボトル

2023年3月12日 羽化

左上翅異常

 

4.所感

雌雄ともに自己ベスト更新できたのでそこはヨシ!とします。特に飼育方法変更したわけではないので、エサ慣れの効果、ということにしておきます。エサ慣れにしては早すぎるようにも思いますが…。これは次世代もインブリードして検証するしかないですね。

800ボトルで飼育すれば絶対にもっと大きいのが羽化してくると思います(あたりまえ)。かといって1400は必要ないんじゃないかとも思います。また、低温耐性もある程度ありそうな感じがしました。晩夏の温度高い時に産卵セット組んで、冬に幼虫期間ぶち当てるとよさげな気がします。

以上のことを踏まえて、次世代は惰性飼育にならないようがんばります。60近いのが出たらうれしいですね。サイズ伸びなかったらやめます。

サクサクとサイクルが進むのは飼育の答え合わせがやりやすくていいことですし、50ミリupが簡単に羽化してきます。そして何より形がカッコいい。よほど下手な飼育しない限り短歯は出現しないでしょう。総合的な満足度が高い虫だと思います。ブッダノコギリ、いい虫ですよ。マレー産に限らず始めてみてはいかがでしょうか。